非常に稀ですが牛が乳癌になることはあります。

では、非常に稀である理由をご説明いたします。
現在、乳癌の発生する原因の一つとして、女性ホルモン（エストロジェン）との関係が知られています。
牛の場合、生涯中に妊娠している状態が非常に多く、エストロジェンが高い期間が短いことが一つの理由です。

また、人の場合閉経後の乳癌発生率が高い事が知られていますが、残念ながら牛は産業動物であるが為にその生涯は短く、性線の活動が終了してしまう状況（閉経）にはほぼ至りません。
これも、牛の乳癌の発生が極めて少ない原因と考えられます。

さらに、生涯中の泌乳活動期間が長い事も合わせて大きな理由となります。

【回答者】
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類
准教授　安藤 達哉