質問コーナー

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Q&A

乳糖分解酵素がない人でも牛乳料理が大丈夫なのはなぜですか?

掲載日:2019.10.16

Q

牛乳を飲むとお腹がごろごろするというのは、乳糖分解酵素がないからだといいますが、そういう人でも牛乳料理、例えばクリームシチューは大丈夫だといいます。これってどうしてなのでしょうか。

A

俗に牛乳を飲むとおなかがごろごろするのは、乳糖不耐のためとされ、世界の成人のうち80%がそうであると言われています。
海外では日本のように牛乳をそのままで飲む(学校給食のシステムなど)習慣がありません。
牛乳は本来、チーズ、バターの原料でした。
そのまま飲まないために、ごろごろするのが気にならなかったのだと思います。
なので、冷たい牛乳ならゆっくり口のなかで温めて飲むとOKと言われています。
それは200ml程度くらいならば、腸管が刺激に耐えられるからです。
温めると大丈夫なのは、料理で牛乳が温められていることと、他の食品と一緒に腸管に入るためです。

ヒトの乳利用は、乳糖不耐症ではない人(北欧居住者など)が始めたと、かつては広く思われてました。
ところが今日では考古学、遺伝学の進歩により、野生動物を家畜化して1000年間は、乳糖不耐のまま乳利用し、そのあとで乳糖耐性の遺伝子が生じたことがわかりました。
つまりバターやチーズに加工してしのいでいたのです。
飲むという発想は、この乳糖不耐と栄養摂取、食品加工という観点から食べ延ばしを図るうえで、長くメインにはなりえなかったようです。

【回答者】
酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類
教授 石井 智美