質問コーナー

質問コーナー

Q&A

ヨーグルトを毎日食べていたらコロナウイルス感染の予防になりますか?

掲載日:2020.02.19

Q

ヨーグルトを毎日食べていたらコロナウイルス感染の予防になりますか?
花粉症に効果的と聞きましたが、インフルエンザ、ノロウイルスなどの予防は出来るのか気になります。
もし効果的であれば1日何グラム食べるのが理想か教えてください。

A

ヨーグルトの健康効果についての質問ですね。

まず、コロナウイルスについてですが、ご存じとは思いますが、感染症として認知されて間がなく、このウイルスに対するヨーグルトの健康効果は、あるかどうかも含めて、現段階では何もわかっていないところです。今後の知見が待たれます。

一般的な風邪に対しては、ブルガリアの伝統的なヨーグルトから分離した乳酸菌で発酵したヨーグルトを1日90gで8~12週間摂取することで、同じ期間100mLの牛乳を飲むよりも罹患リスクを約2.6倍低下できるとの報告があります。
S.Makinoら(2010) British Journal of Nutrition, 104, 998–1006.
※なお、このヨーグルトは赤いパッケージで市販されています。

花粉症に関しては、スギ花粉症患者に乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルスの発酵乳を加熱殺菌した飲料を200mL、6週間毎日飲んでもらったところ、涙を流す症状が改善した例があります。
Y.Ishidaら,(2005) Biosci. Biotechnol. Ciochem., 69, 1652-1660.

ノロウイルスは、冬季に流行することが多い感染性胃腸炎の原因物質で、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢を引き起こします。
ワクチンや治療薬も今のところなく、非常に感染性も強いので、流行してしまうと、大変面倒なことになります。
加熱殺菌をしていない乳に含まれるラクトフェリンというタンパク質は、体内の細胞へのノロウイルスの付着を抑制し、また細胞内に入ってしまったウイルスが自己複製しようとしても間接的にそれを阻害すると考えられています。
H.Ishikawaら,(2006) Biochem. Biophys. Res. Commun.,434, 791-796.
ラクトフェリンは加熱すると、タンパク質の形が壊れてしまうのですが、加熱前の乳から抽出したラクトフェリンを入れたヨーグルトも市販されています。
ノロウイルス胃腸炎と疑われる症状で医療機関を受診した患者さんの中で、ラクトフェリンが100mg入っているヨーグルトを毎日飲んでいる人は、週1回程度の人に比べ、ノロウイルスの感染陽性率が有意に低いとの結果もあります。

いずれの例もヒトが持っている免疫系を増強したり調節した結果とみることができます。
ヨーグルトは薬ではないので、健康効果がすぐに出るというものでもなく、治療効果もあるわけではないです。
仮に風邪をひいたから、あるいは花粉症の症状が出たからということで、急いで摂取しても効果は出ないように思います。
長期的に摂取することで免疫系を調節し体質を万全にすることで、間接的ではありますが、病気になりにくい状態になるのではないかと思っています。


【回答者】
酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類
講師 栃原 孝志