ジャーナル・アイ

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食品

世界の乳文化図鑑⑭ 米国の乳製品のはなし

掲載日:2020.12.14

酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類
教授 石井 智美

乳脂肪を控える傾向に

米国で映画鑑賞のお供として欠かせないのが“ソフトドリンク”と“ポップコーン”。わが国で売られているものより、どちらもビッグサイズです。2013年、ニューヨークにおけるソフトドリンクのサイズに関して市長権限による規制が入りました。レギュラーサイズしか販売してはいけないそうですが、お代わりが無料なので2杯飲むと以前と同じことですね。

昭和30年代、米国のテレビ番組が放送されていたときのことです。番組の内容は忘れましたが、当時日本になかった大型冷蔵庫に“米国の豊かさ”を感じたものです。冷蔵庫の中の食品も白黒ながらも魅力が伝わり、ジュースや牛乳瓶などのサイズも大きく、子供心に強烈な記憶となりました。

数年前、米国テキサス州に滞在して食品売り場をいろいろと歩いたことがあります。食品のサイズが大きいことは健在でしたが、脱脂割合を明記した低脂肪乳、低脂肪ヨーグルトなどが目立ち、牛乳の販売スペースは小さくなっていました。やっと見つけたと思った牛乳のサイズは591mlでしたが、表示をよく読むと脱脂乳でした。ホテルの朝食のドリンクコーナーでも脱脂乳が幅を利かせていました。売れ筋商品をそろえているコンビニエンスストア(CVS)でも大型の脱脂乳が中心で、牛乳とはいえないものも多くあり、表示に注意しなければ外観は牛乳とそっくりでした。

このように乳脂肪を控えていることからも、米国では国を挙げて肥満防止に取り組んでいることを実感します。しかし、ほかの食品の購入状況を眺めると「脂肪とはおいしいもので、人の嗜好しこうは変え難い」と思ったのでした。

さまざまなチーズ料理

テキサスのレストランではパスタ類やピザにたっぷりとチーズが使われ、カッテージチーズがサラダをはじめとした様々なメニューにトッピングとして登場していました。カッテージチーズは色が白く、もろもろとした形状がヤギや羊の乳から作られたフェタチーズと区別しやすく、サラダなどの1皿のコールド料理においてよい彩りになっていました。

泊まっていたホテルのランチでも、大きなボウルに入ったクリームチーズをイチゴやベリー、ミントで飾って提供していました。温めたベーグル、デザートのトッピングとして次々と取り分けられ、あっという間にボウルが空になったのでした。

もう一つ印象的だったのが、肉料理の付け合わせのブルーチーズ入りのパンです。日本でもキューブ状のエメンタールやゴーダチーズが入ったフランスパン生地のものはよく見かけます。このブルーチーズブレッドは、外側はきつね色に焼き上げられていますが、トースト型のパンの中は真っ青な青インクの色です。食品には見かけない色合いで、かなりの量のブルーチーズがパン生地に練り込まれており、「日本でも好まれるのでは…」と思いました。今度ぜひ作ってみたいものです。

チーズを用いた料理は、料理人の力量が問われるのだそうです。余談ですが、ミシュランの星を獲得した日本のレストランでは、癖のあるブルーチーズを大葉で巻いた前菜が好評だとか…。やはり“シンプル イズ ベスト”なのかもしれません。

世界の乳文化図鑑⑭ 米国の乳製品のはなし

米国のヨーグルト

世界の乳文化図鑑⑭ 米国の乳製品のはなし

ホテルのランチで提供されたクリームチーズ