未来の酪農家紹介「オホーツクファーム喜多牧場(北海道紋別市)喜多 遼太朗さん」
掲載日:2020.11.27
酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 4年
家畜管理・行動学研究室 喜多 遼太朗
酪農学園大学入学のきっかけ
入学したきっかけは、酪農業に興味があり、大学で専門的な知識、経験を積みたいと考えていたからです。また、酪農学園大学は札幌という大きな都市に近い場所に位置しているので、他大学生との交流やイベントに参加したいという思いがありました。
在学中に力を入れたこと
在学中に力を入れたことは、留学と人脈作りです。
私は大学2年終了時に休学し、デンマークへ1年間の農業研修へ行きました。デンマークでは実際に酪農家さんの家に住み、牧場主や従業員と共に仕事をしていました。高校時代にもアメリカへ1年間の語学留学へ行った経験があったので、デンマークでは言葉に困ることなく、自分の知りたい事や疑問に思った事など、毎日沢山の事を学ぶことができました。
次に人脈作りですが、留学(高校、大学計2年間)していたという事もあり、学年が変わる経験を何回かしてきました。その度に新しい人たちと交流や、友達になることができ、非常に楽しい日々を送りました。酪農学園大学は酪農関係だけではなく、いろいろな分野の学類があり、道外の学生が多く通っている大学なので、日本中の幅広い分野や年代に人脈を広げられた事は良かったと思います。
卒業論文の概要
『酪農における畜舎建設基準の見直し(仮)』と題し研究を進めています。畜舎建設基準見直しの背景としては、①「規模拡大のために新たな畜舎を建築したいが建築コストが高い」、「機械化が進み、人が牛舎内に滞在する時間が短くなっているため、従来よりも緩い基準でもよいのではないか」という畜産現場の声があること②建設コストが高額であるため、牛舎の建て替えや増設ができず離農してしまう小規模農家に対し、低コストでの施設建設を行えるようにし、持続的に農業を行える環境を整える―などがあります。
今後の予定としては、現在(2020年8月)中間報告として公表された建築基準緩和案をきちんと理解し、それに伴って“実際にどれくらいの建築コスト削減が望めるのか”を考察したり、実際に現場へ出向き“どのような建築物がどのような建築方法で建設されているのか”について、牧場主との会話を含め視察、考察していきたいと考えています。
さらに自分が感じている、“異常気象や災害が増えてきている今の日本で、建築基準法を現行の基準よりも緩和を大きくしていく(=現在よりも弱い畜舎が建設できる)”という事に対しての不安要素についても考えながら、論文を書き上げていきたいと思います。
牧場の概要
所 在 地:北海道紋別市上渚滑町上東198番地
経営面積:採草地 270ha、飼料用(デントコーンなど)70ha
飼養頭数:ホルスタイン種 経産牛600頭、未経産牛550頭
その他(豚33頭)
出荷乳量:5,258t(2019年度実績)
牛 舎:放し飼い(フリーストール)
搾乳方式:パーラー(パラレル・ダブル 16頭)
従 業 員:17名(牧場)、5名(直販ショップ)
ホームページ:https://kitafarm.com/
牧場の歴史、特長、取り組みなど
牧場の歴史
明治30年代半ば
四国徳島から紋別郡興部に入植。北海道の厳しい自然の中、米、芋、薄荷などの栽培を手掛ける。
その後、地域のでんぷん工場の経営も行う。
昭和35年
乳牛を飼い始め、酪農がスタート。
昭和39年
現在地(紋別市)に移転。そこから毎年頭数を増やし、現在に至る。
牧場の特徴
牧場の特徴は、『みるとんはうす』という直販ショップを経営していることです。提供している商品としては、牛乳、ソフトクリーム、チーズなどの乳製品から、牛肉、豚肉などの肉製品などがあります。また、ランチのみ喜多牧場の製品を使ったハンバーグカレーやピザ、ミートパスタなどの料理を提供しています。
「北海道の牧場でそのままの味を食べるという事を みなさまに提案します」という思いを持ちながら営業をしています。機会があればぜひお越しください。
牧場の取り組み
現在ISO22000(衛生面を含めた食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格)の取得を目指しています。
就農後の目標
大学卒業後は実家に就農します。
就農後、酪農の日常の仕事から経営の話など沢山の事を父や働いてくれている従業員の方々から学びたいです。すべてのことに関してまだまだ経験不足ですが、日々成長していきたいと思います。また、常に多方面にアンテナを張り、新しい技術や情報、人脈を広げることも意識していきたいです。
将来的にはAIの活用や機械化を進め、効率的な酪農体系を築きながらたくさんの方々に愛される酪農を経営していきたいです。6次産業化も含め、たくさんの方に喜多牧場が提供できるものを増やしていきたいです。
あと、犬飼いたいです。