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未来の酪農家

未来の酪農家紹介「寺本牧場(北海道稚内市)寺本 遥香さん」

掲載日:2021.03.22

酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 4年
家畜管理・行動学研究室  寺本てらもと 遥香はるか

 

酪農学園大学入学のきっかけ

高校3年生の時、実家の牛舎の手伝いをしている中で「酪農の仕事はやりがいがあり、楽しい」と思いました。それと同時に、私の実家はつなぎ飼い牛舎なのですが、乳牛に対して「つながれているだけでよいのか」という疑問が浮かびました。また、新牛舎を建設し、“トンネル換気”という換気方法で完全つなぎ飼いに移行したことや、オリオン機械(株)のキャリロボ🄬(搾乳ユニット自動搬送装置)を導入したことにより、「この環境が牛にとって良いのだろうか」「住みやすい環境なのだろうか」と感じました。そのような私の感じた疑問を研究することができるのは酪農学園しかないのではないかと思い、入学を希望しました。

在学中に力を入れたこと

大学2年生のときに受けた森田先生(家畜管理・行動学研究室)の講義の中で、アニマルウェルフェアについての授業がありました。アニマルウェルフェアという言葉自体を私は知りませんでしたが、上で書いた通り、その授業の内容が、私が知りたかったことと非常に似ていたため、直接森田先生に質問をしに行ったりして過ごしました。
また、実家で共進会をしていたこともあり、共進会にも力を入れました。共進会とは牛の美人コンテストのようなもので、牛を改良することの大切さを学びました。毎日牛を調教したり洗うことで、牛自体にもどんどん変化があったり、優秀な成績を収めることができたりしたときは非常に嬉しかったです。

卒業論文の概要

実家の牧場について、五つの観点(①経済性②エネルギー③余剰窒素④人間の満足度⑤家畜の健康状態)と、そのほか繁殖成績について総合的に評価をし、卒業論文に取り組みました。評価指標の中には進学のきっかけになったアニマルウェルフェアについても含んでいます。

牧場の概要

所  在  地:北海道稚内市
経営面積:採草地 70~80ha、放牧地 2ha
飼養頭数:ホルスタイン種、ジャージー種 経産牛110頭、未経産牛80頭
出荷乳量:980t/年
牛  舎:つなぎ飼い
搾乳方式:パイプライン(キャリロボ6台・12ユニット)
従  業  員:4名(両親、祖父母の家族経営)

牧場の歴史、特長、取り組みなど

1902年(明治35年)
 初代が現在地に入植
1918年(大正7年)
 乳牛導入と同時に種雄牛の飼育を開始
1970年(昭和45年)
 牛舎建設
1975年(昭和50年)
 バルククーラー・パイプライン導入
1976年(昭和51年)
 バーンクリーナー導入
1978年(昭和53年)
 「T スーパー マジエール ET」家畜改良事業団の種雄牛に選抜
1979年(昭和54年)
 牛舎増設
1981年(昭和56年)
 「レカ デイライト プレステージ」日本記録達成(4.5歳 305日 13,806kg) 
1982年(昭和57年)
 「ドロシー デイライト ぺライル」日本記録達成(4.0歳 305日 14,251kg)
1993年(平成 5年)
 「T ホームステッド マンデイ ボーイ ET」 後代検定国産検定済種雄牛に選抜
1994年(平成 6年)
 「T ホームステッド クリスチナ チーフ ET」 364日 21,567kg(スーパーカウ)達成
2016年(平成28年)
 TMRセンター (株)Yu-LINE NEXT設立
 成牛舎新築

就農後の目標

一般社団法人家畜改良事業団に入社し、酪農家とは違う観点から物事を見てこれからの経験に活かせるよう活動したいと考えています。私自身乳牛の改良に興味があるためそこを中心的に学べたらいいなと考えています。また、優秀な遺伝子を持つ種雄牛をこれからどんどん輩出できるように努めていきたいと考えています。そのためには現在から基本的なことから学びなおしていきたいです。

未来の酪農家紹介「寺本牧場(北海道稚内市)寺本 遥香さん」

つなぎ飼い牛舎

未来の酪農家紹介「寺本牧場(北海道稚内市)寺本 遥香さん」

処理室(タンクの全量は8,000L)

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TMRのストッカーと自動給餌機マックスフィーダー

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餌押し用の小型ボブキャット

未来の酪農家紹介「寺本牧場(北海道稚内市)寺本 遥香さん」

在学中に力を入れた共進会