獣医の卵紹介「動物生殖学ユニット 梶田 亜希さん」
掲載日:2021.11.19
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 6年
動物生殖学ユニット 梶田 亜希
獣医師を目指したきっかけ
小さいころから動物が好きで、将来は動物に関わる仕事に就きたいと昔から思っていました。その中で獣医という職業はずっと頭にはありましたが、明確に決めていたわけではありません。動物は人よりも寿命が短く、どうしても自分よりも早く死んでしまうことがほとんどです。昔からいろいろなペットを飼っていましたが、ペットが病気になってしまったときに、大切な存在なのに何もしてあげられないことをとても悔しく悲しく思っていました。そんな中で、当時ペットを診てくださっていた獣医さんが、人に対するのと同じようにペットに話しかけて診察をしていました。また、幼かった自分に対してもとてもやさしく話をしてくださいました。その姿を見て「私もこういう人になりたい」「いつか自分の力で大切な命を救いたい」と思うようになり獣医師という職業を志すようになりました。ペットたちの存在は私に命の大切さを教えてくれましたし、今でも獣医師という夢に向かう大きな原動力になっています。
酪農学園大学に入学したきっかけ
伴侶動物である犬や猫はもちろんのこと、たくさんの動物と関わり、学ぶことができる環境を求めていました。その中でも本学は、普段の生活ではなかなか関わることができない生産動物についての教育が充実しているということに魅力を感じました。
また、北海道という大自然の中、新しい環境でいろいろな経験をしてみたいと思い、新しい世界に飛び込むような感覚で本学への入学を決めました。
所属ユニットを決めたきっかけ
私は、将来は伴侶動物分野の道に進もうと思っていたので、今しか経験することのできない、生産動物医療に関わることができるユニットに所属しようと考えました。また、生産動物分野の医療が発達している本学でその分野に関わり、実際の臨床現場を経験することが良い経験になるのでは、と思い選択しました。その中で、どんな動物においても重要である生殖学分野を専攻することで、さまざまなことに発展させ応用できるのではないかと思い動物生殖学ユニットを希望しました。
このユニットに所属し、牛、馬、羊、山羊、イルカなど本当にさまざまな種類の動物の医療現場に関わることができ、多くの貴重な経験とたくさんの学びを得ることができました。
在学中に力を入れたこと
まず一つは部活動です。それまであまり団体スポーツをしたことはなかったのですが、「アイスホッケー」という北海道ならではのスポーツにひかれ、「新しいことに挑戦したい」との思いからアイスホッケー部に所属しました。全くの初心者で、はじめは慣れることにも時間がかかりましたが、チームメイトと切磋琢磨していく中でたくさんの経験をし、青春と呼べる思い出ができました。
もう一つはやはりユニット活動です。ゼミに所属し実際の臨床現場を身をもって経験することで、獣医師として働く実感とその大変さ、大切さを自分なりにあらためて考えるようになりました。日々専門知識や技術を学ぶことはもちろん、仕事をしていく中で大切になること、相手との関わり方など多くのことを学びました。
どちらの経験でも、部活のチームメイトやゼミの同期と、時にはぶつかり合いながらも共に同じ目標に向かい協力していく中で深い関わりを持ち、心から信頼できる多くの友人と出会うことができました。
また、大学生活の中でアルバイトをしていたことも、私にとってはとても良い経験になりました。1年生のころからいくつか飲食店のアルバイトをしましたが、お客さんをはじめ、学内のコミュニティ以外の普段は関わらないようなさまざまな職の方々と接することができ、貴重な社会経験になったと思います。お金の大切さはもちろん、働くことの意味や、人と関わることの大切さや楽しさ、人と心を通わせるすばらしさなど多くのことを学ぶことができました。
卒業論文の概要
イルカの皮膚からホルモン値を測定することで、イルカに負荷を与えることなく発情周期を診断できないか―ということを研究しました。海獣類の研究は、生産動物や伴侶動物に比べてわかっていないことが多くあります。現在用いられている発情周期診断法の多くは侵襲的(採血など身体的に負担がかかる方法)であり、イルカにストレスを与えてしまいます。イルカの皮膚は代謝速度が人の約250倍であり、軽くこするだけで脱落するため、簡単に採取することができます。このことを用いて、発情周期診断の非侵襲的な材料として利用できないかを研究しました。
就職後の目標・夢
大学生活を通していろいろな経験をし、たくさんの方と接することで、どんな職業においても人と人との信頼関係が大切であることも学びました。
幼いころに志した「獣医師として動物の命を救う」ということはもちろんですが、ただ動物のけがや病気を治すだけでなく、幼い私に獣医さんがしてくれたように、信頼関係を築きながら飼い主さんに寄り添い、心も救うことができるような獣医師になりたいと思います。