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牛乳の種類

掲載日:2019.03.14

店頭に並んでいる牛乳は、「乳および乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によりいくつかの種類に分類されています。

1.牛乳
生乳(牛から搾ったまま何も処理されていない乳)を加熱殺菌したものです。種類別名称を「牛乳」と表示できるのは、乳脂肪やたんぱく質などの成分を取り除いたり、他の原料を加えたりしていないものに限られています。

2.特別牛乳
搾乳施設や処理方法など一定の条件を満たした指定農場で搾乳・殺菌処理された牛乳です。製造施設は全国で5カ所しかありません。乳成分の規格も「牛乳」とは異なり、殺菌の操作を省略することができます。殺菌する場合は低温長時間殺菌法(63~65℃で30分間加熱)によって殺菌することが定められています。

3.成分調整牛乳
生乳から遠心分離で乳脂肪分を除いたり、膜処理で水分などを除くなどして、残った成分を濃くした牛乳です。例えば、乳脂肪分を取り除いた成分調整牛乳は、その乳脂肪分で生クリームやバターなど別の商品を作るのに利用されるため、「牛乳」より低価格で販売されています。

4.低脂肪牛乳
成分調整牛乳の中でも、乳脂肪分を全体の0.5%以上1.5%以下に調整したものです。

5.無脂肪牛乳
成分調整牛乳の中でも、ほとんど全ての乳脂肪を取り除き、乳脂肪分を0.5%未満まで調整したものです。

6.加工乳
生乳に乳製品を加えて調製したものです。濃縮乳やクリームなどを加えて濃厚さを特徴とした商品や脱脂乳などを加えて乳脂肪分を少なくし低カロリーを特徴とした商品などがあります。原料に生乳よりも安価な脱脂粉乳などを使用することができるため、低価格で販売されています。

7.乳飲料
生乳、牛乳、特別牛乳または乳製品を主原料として、果汁や香料、カルシウムなどを加えて作られたものです。公正競争規約によると、乳固形分(無脂乳固形分と乳脂肪分を合わせたもの)を3.0%以上含むことと定められています。カルシウムやビタミンを加えた栄養強化タイプ、コーヒーや果汁を加えた嗜好タイプなど様々な種類があります。乳糖不耐症の人にも飲めるように乳糖を分解したもの(ラクトースフリー)も乳飲料に含まれます。

 

牛乳パックの表示について

1.種類別名称
牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料のいずれかです。消費者にわかりやすいよう、一括表示欄だけでなく商品名の下など目立つ部分にも種類別名称が記載されています。

2.商品名
原材料に生乳以外を含む加工乳と乳飲料は、商品名に「牛乳」と入れることができません。「特選」や「厳選」といった成分の量を強調する表示や、「濃厚」や「特濃」といった品質を強調する表示を入れる場合は、公正取引協議会が定めた基準を満たしている必要があります。
濃厚・特濃など:無脂乳固形分8.5%以上、乳脂肪分3.8%以上
特選・厳選など:原料の生乳が、無脂乳固形分8.5%以上、乳脂肪分3.5%以上、細菌数10万/ml以下、体細胞数30万/ml以下であると証明できる場合。

3.無脂乳固形分
牛乳中に含まれる水分と乳脂肪以外の成分で、タンパク質や炭水化物、ミネラル、ビタミンがこれにあたります。季節や牛が食べているものによって変動するため、少なくとも表示分量は保証するという意味で、「○%以上」と表示されます。

4.乳脂肪分
牛乳に含まれる脂肪の割合です。無脂乳固形分と同様に変動するため、「○%以上」と表示されます。

5.原材料名
牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳は、一切の混ざりものが無いので「生乳100%」です。加工乳、乳飲料は生乳50%以上または生乳50%未満、または○○%と固定値が記載されます。

6.殺菌
殺菌温度と殺菌時間が表示されます。

 

【豆知識】
1.牛乳パックの切り欠きはなんのため?
目の不自由な方に触っただけで牛乳だとわかっていただき、手軽に飲んでいただくための工夫です。種類別名称が「牛乳」で、容量が500ml以上の家庭用紙パックのものにのみ切り欠きが入れられます。この切り欠きが付いているものは確実に種類別「牛乳」なので、消費者の購入時、消費の際の判断に役立ちます。また、切り欠きを入れる場所は開けやすい注ぎ口の反対側と決まっています。
※任意の規格なので、すべての牛乳に切り欠きがあるわけではありません。また、酪農学園大学の「健土健民牛乳」は、家庭用の紙パックで包装されていますが、容量が300mlなので、切り欠きがありません。

2.『公正』のマークはどういう意味?
全国飲用牛乳公正取引協議会が定める規約(飲用乳の表示に関する公正競争規約)に従って、パッケージや乳成分の表示が適正であると認められた場合につけられるマークです。
商品名に特定の地域名が入っているにもかかわらず、他の地域の牛乳を混ぜたり、ジャージー牛乳という名前の商品にホルスタイン種の牛乳を混ぜたりすることはできません。表示は定期的にチェックされ、適正ではないと判断された場合には公正マークが付けられなくなります。

(監修:酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 講師 栃原 孝志)

牛乳の種類別名称と成分

牛乳の種類

牛乳パックの成分表示(一括表示欄)

牛乳の種類

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