質問コーナー

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Q&A

良い黄体とはどの様な黄体のことを言うのでしょうか?

掲載日:2020.06.24

Q

良い黄体とはどの様な黄体のことを言うのでしょうか?
黄体が良くないと種がつきにくいとききました。
また良い黄体をつくるためにはどの様な餌を与えればよいのでしょうか?

A

ご存知のとおり、黄体は卵胞が排卵した跡に形成されます。
良い黄体になるためには、正常な周期で明瞭な発情が発現することがまず必要です。
そして、黄体が正常に発育するためには、牛の栄養状態がもっとも影響する要因です。

黄体は、排卵後、急速に黄体組織が増えて大きくなります。発情後4日目頃から明瞭な形になり急速に大きくなります。発情後8~10日目頃には最大の大きさになります。

黄体は妊娠するために必要なプロジェステロン(黄体ホルモン)を分泌します。妊娠を維持できる値のプロジェステロンを分泌できる黄体が良い黄体と言えます。

私たちは受精卵移植を行う直前に必ず黄体検査を行います。黄体の大きさ、形、硬さ・柔らかさなど、さまざまな観点から良い黄体を持つ牛を選ぼうとします。実際には、明瞭な発情が発現して、直腸検査で分かる黄体であれば、ほぼプロジェステロンの分泌機能は正常で、妊娠できる状態です。したがって、直腸検査で黄体と明確にわかる黄体はほぼ良い黄体です。
さらに、超音波診断装置で検査しても明瞭な黄体組織が形成されていることが確認されます。

良い黄体は、正常な周期で明瞭な発情が発現すれば形成されます。そのためには栄養状態が正常であることが最も重要です。

もちろん黄体が正常に形成されず、プロジェステロン分泌機能も低い牛も中にはいます。これらの牛は、発情周期が正常でなかったり、栄養状態が適切でなかったり、必ず何らかの要因が存在します。

参考までに、私たちは受精卵移植を行う際に、明瞭な黄体があるにもかかわらず、大きな卵胞がありかつ子宮収縮や発情時のような粘液がある場合は、受胎率が低くなることを経験的に知っていますので、受精卵移植を可能な限り避けます。

なお、良い黄体をつくるための餌の指標としては、飼料計算に基づいて与えて、正常に発情周期が動くようになることが挙げられます。


【回答者】
酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類
教授 堂地 修

良い黄体とはどの様な黄体のことを言うのでしょうか?
良い黄体とはどの様な黄体のことを言うのでしょうか?