質問コーナー

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Q&A

1番草と2番草でそれぞれ1町あたりロールは何本作れますか?

掲載日:2020.09.17

Q

1番草と2番草でそれぞれ1町あたりロールは何本作れますか?
また、バンカーやスタックは何町で埋められますか?

A

ロールベールの重量もバンカサイロの大きさも採草地の収量(1町で収穫できる牧草の重量)も規格やお天気や作り方によって大きく違いますので、一つの数値でお答えすることは正確でありません。

そのうえで、チモシーという北海道の代表的なイネ科牧草が主体になっている採草地(ロールベールをつくる牧草畑)では、ちゃんと管理すると、
6月頃に1番草 6,000 kg/ha
8~9月頃に2番草 3,000 kg/ha
の牧草を乾物で収穫できます。北海道の酪農地帯で使われる普通の大きさのロールベール1個の乾物重は300kgくらいと思います。
すると、1ha当たり(1町と大体同じです)、1番草で20個、2番草で10個取れれば、普通の草地でちゃんと生産できたことになります。

これも、使う機械が、小さなロールベーラなら小さなロールがもっと沢山できますし、巨大なロールベーラなら大きなロールが少しできますよね。また、重量を乾物でお話しした理由は、生の重量で表すとお天気が晴れか雨かで重量が変わってしまうからです。

さて、バンカサイロやスタックサイロは大きさにもっと違いがありますから、何町で埋められるかなんて数字は出せません。
しかし、巻き尺でバンカサイロとトラックの荷台の大きさを測定すれば、バンカサイロに入ったトラックの台数を聞いたときに、良いサイレージができそうか、悪いサイレージができそうか予想することができます。

バンカサイロやスタックサイロでは、搬入した牧草を重機で踏みつけて空気を抜き、酸素を遮断することで乳酸発酵をさせます。おいしい漬物にして、腐るのを防ぐのです。そのときの踏み方の目安は、ダンプトラックで搬入した草の体積を半分以下に圧縮することです。
荷台の容積10㎥のダンプで50台運んだら、500㎥の牧草が持ち込まれたことになりますね?その草で出来上がったバンカサイロやスタックサイロの体積が250㎥より小さくなっていれば、十分に踏みつけられたことになり、品質の良いサイレージが期待できます。反対に300~400㎥のサイロができてしまったら、踏み方が足りず、酸素が入って腐る部分が多く出ることが危惧されます。

また、ダンプトラックの積み込まれる牧草の乾物重は、どんな水分でも1㎥あたりだいたい75kgです。さきほどのチモシー草地のように1番草で6,000kg/ha、2番草で3,000kg/haの牧草(乾物)が収穫できる場合、1番草6,000÷75=80㎥、2番草40㎥の体積となります。これを1台10㎥のダンプトラックで運搬するなら、1番草8台、2番草4台を要すことになります。
また、これを1基800㎥のバンカサイロに収納する場合、きちんと踏んで圧縮すれば1,600㎥を超す牧草が入るはずです。
1番草では1,600㎥÷80㎥=20ha、同様に2番草では40haを超すくらいの面積が必要になるでしょう。

・チモシー草地は1番草で6,000kg/ha、2番草で3,000kg/haの乾物を生産できる
・ダンプに積み込まれた草の乾物の重さは1㎥あたり75kg
・サイロではダンプで運ばれた体積を半分以下に圧縮する

これだけ覚えておけば、あとはサイロの大きさ、ダンプの荷台の容積から多くの情報を計算することができます。
身近にロールやサイロがあるなら、ぜひ計測したり、計算してみて下さいね。


【出典】
原本:根釧農業試験場:大型バンカサイロの踏圧法.
   平成17年普及奨励ならびに指導参考事項、p82-85、北海道農政部
   https://www.hro.or.jp/list/agricultural/center/kenkyuseika/gaiyosho/h17gaiyo/f2/2005206.htm

普及資料:大越安吾:大型バンカサイロの踏圧法.根釧農試酪農研究通信 第14号
     https://www.hro.or.jp/list/agricultural/research/konsen/kenkyu/H16_kenkyu_p01_touatu.pdf


【回答者】
酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類
教授 三枝 俊哉