刈り取り時の青草の状態での分析と発酵後の分析では、水分やCPはどの程度変わりますか?
掲載日:2021.04.30
グラスサイレージの分析について教えてください。
刈り取り時の青草の状態での分析と、発酵後の分析では水分、CPなどはどの程度変わってくるでしょうか。
バンカーを開けてから発酵後の分析をしていると実際の使用開始時には分析値が手元になく(分析結果が来る前に使い始めるため)、バンカーに詰める前に分析した値がある程度、発酵後の成分予測に使えるのであれば良いなと思ったのですが。
サイレージの原料草とサイレージの成分値は異なります。
その程度は水分含量やサイレージの品質に左右されます。
水分含量の低いサイレージは、発酵があまり進まないため成分変化は小さいです。
一方、高水分(70%以上)では、発酵が促進され、変敗のリスクが大きくなります。
特に、タンパク質が分解されアンモニアへの移行度合いも大きくなりがちです。
CPは窒素化合物の総称ですので、アンモニアもCPに含まれます。
また、サイレージ発酵によってVFA(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)が生成されます。
アンモニアやVFAなどの揮発成分は水分ではないですが、分析法によっては水分に含まれがちです(数値的に)。
サイレージ給与(飼料計算)に際しては、サイレージの分析値が示される前までは、原料草の分析値を用いることは適切な判断でしょう。
ただし、発酵品質が不良なサイレージの多給は、乳牛への影響が懸念されますので、ご注意ください(サイレージの官能的品質評価を行うこと)。
【回答者】
酪農学園大学
名誉教授 野 英二