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乳牛の飼養形態

掲載日:2018.04.27

乳牛の飼養形態には、「つなぎ飼い方式」と「放し飼い方式」があります。

つなぎ飼い方式では、スタンチョンやチェーンなどを用いて乳牛を繋留して収容します。中央の通路を挟んで乳牛の頭が向い合せのものを対頭式、お尻が向い合せのものを対尻式(たいきゅうしき)といいます。1戸当たりの飼養頭数が少ない日本においては、約90%の酪農場がつなぎ飼い方式で飼養しています。
発情や人工授精などの記録が容易で、乳牛ごとに飼料の給与量を変えられるなど、個体別の管理がしやすい特徴があります。
乳牛は繋留された場所から動けないため、餌やりや搾乳などの作業は人間が動かなければならず、作業にかかる労力は多くなります。
時間や季節を決めて放牧を実施している酪農場もあります。

放し飼い方式では、乳牛は広い牛舎内で群で管理され、採食スペースや休息スペースを共有します。つなぎ飼い牛舎よりも多くの乳牛を管理できるため、大規模な酪農場が多い北海道や東北地方で多く見られます。主に休息スペースの違いから以下の2つに分けられます。

<フリーバーン(ルースバーン)>
牛舎の全面に敷料を多量に投入し、休息スペースとする方法です。乳牛は自由な場所で休息することができますが、糞尿をする場所も自由であることから、管理が不十分な場合には牛体が汚れやすくなります。

<フリーストール>
牛舎内にストールという1頭分ずつに区切られた休息スペースを設ける方法です。牛体をきれいに保つために、牛体のサイズに合わせたストールの設計が必要です。

放し飼い方式では乳牛が自由に行動できる反面、採食スペースや休息スペースをめぐる競合や、牛群内での順位をめぐる競合が起こることがあります。飼料の給与量やストール数を十分に確保するなど、弱い個体への配慮が必要になります。

搾乳の際には乳牛がミルキングパーラーへ移動するため、人がミルカーを持って移動する必要はありません。また、餌やりや掃除にはトラクター等の機械を使用できるため、作業にかかる労力は少なく抑えることができます。

近年では自動搾乳ロボットや自動給餌ロボットを導入し、さらなる省力化・効率化に取り組む酪農場もあります。

(監修:酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 教授 髙橋 圭二)

飼養形態:繋ぎ飼い

乳牛の飼養形態

飼養形態:放し飼い

乳牛の飼養形態

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