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管理作業

牛体測定

掲載日:2018.04.27

牛体測定は、育成牛が順調に発育しているかどうかを把握するために定期的に行います。複数の項目を測定することで、バランス良く発育しているかがわかります。乳牛の初回人工受精時の発育目標は13カ月齢で体重350kg、体高125cmとされており、体側によりこの目標に達しているかを確認することができます。
また、成牛に対する測定では、体型上の改良点を把握することができます。
いずれの場合にも、数値だけで判断するのではなく実際の健康状態も合わせてチェックすることが重要です。

以下の項目を測定します。

①体 高:き甲部(第3胸椎練突起)頂点より地面に至る垂直距離
→正姿勢に立った前肢上部付近(肩甲骨の上部突端付近)
②体 長:肩端より坐骨端に至る直線距離
(斜体長)第1胸椎練突起より坐骨端
③胸 深:胸囲を測定する線上胸椎上縁より胸の下縁に至る直線距離
④尻 長:腰角前端より坐骨端に至る直線距離
⑤腰角幅:左右腰角外縁の直線距離
⑥寛 幅:左右寛股間接最広部間の幅
⑦管 囲:左前肢管骨最細部の周囲の長さ
⑧胸 囲:肩後第8肋骨の基部を通過する帯径部における周囲の長さ
→目安は肩甲骨の上後端直後部
⑨十字部高:腰角を結ぶ直線と背線との交差点
⑩胸 幅:胸囲測定部の肋骨幅
⑪坐骨幅:坐骨結節間の直線距離
⑫体 重:体重計、または胸囲から推定

測定の要領
1.平らな地面を選ぶ
2.牛を正しい姿勢に立たせる
  ①一人が牛の正面に立ち、頭部を背線より少し高めにおき頚と共に背線と一直線になるように保持する
  ②背線を水平に保つ
  ③前肢は真っ直ぐに、後肢は繋までが垂直になるように立たせる
3.測定は牛の右側で行い、声をかけながら近寄り、動揺を与えない
4.測定は敏速にテキパキと行う

<参考>

一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
・ホルスタイン種雌牛の月齢別標準発育値(http://hcaj.lin.gr.jp/frame2.htm

・ホルスタイン種雌牛・標準発育値とは(http://hcaj.lin.gr.jp/frame2.htm

標準発育値の使い方
標準発育値は平均値に加えて、1標準偏差を加減した範囲で示されています。この範囲には全体のおおよそ70%の牛が含まれるので、この範囲内にあれば、発育状況は「ほぼ良好」だと言ましょう。
一方、ある部位の実測値がこの範囲を超えて上方にある場合は、ほかの各部位が果してバランスのとれた発育をしているか、肉付きや健康状態はどうであるかをよく観察して、特に過肥にならないように留意しましょう。
反対に、実測値がこの範囲の下限値より下回る場合、発育状況は「やや不良」と考えられるので、飼料給与の内容や健康状態などをよく検討・改善する必要がありましょう。
また、経産牛では妊娠、分娩、泌乳、乾乳などの条件下で、特に体重や胸囲が変化するので、これらの生理条件を考慮した上で肉付き、健康状態などをよく観察し、必要以上の過肥や痩せすぎにならないように留意しましょう。

(監修:酪農学園大学 副学長 野 英二)

写真1.測定項目

牛体測定

写真2.測定器

牛体測定

写真3.体高と十字部高の測定

牛体測定

写真4.管囲と胸囲の測定

牛体測定

写真5.体長、尻長、胸幅の測定

牛体測定

写真6.腰角幅、寛幅、坐骨幅の測定

牛体測定

添付ファイル


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