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衛生

安全・衛生・防疫講座「正しく消毒できている?」(中央酪農会議『感動通信』vol.65より)

掲載日:2022.02.01

酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医細菌学ユニット
講師 村田 亮

①洗浄→②乾燥→③消毒の三段階が大事!

感染症伝播を阻止する上で「消毒」は欠かせませんが、一括りに消毒剤と言っても種類も用途も様々です。より効果的な使い方につながるポイントをいくつかご紹介します。

まず、消毒手順ですが、いきなり手指や長靴を直接ドボンと薬液に浸けていないでしょうか?汚れが大量に付着した状態では有機物の方に消毒効果が持っていかれてしまいます。石鹸や洗剤を使って十分に「洗浄」しておきましょう。また、見落とされがちなのが「乾燥」です。ビチャビチャの状態で消毒剤をかけてしまっては、あっという間に濃度が低下してしまいますよね。清潔なペーパータオルなどで水分を拭きあげてから「消毒」の段階に進みましょう。すぐに水気を除けないようなものを消毒する際は、希釈されることを見越して少し濃い濃度の消毒剤を用意しておくと良いでしょう。

次に、消毒剤の特徴についてです。最も身近な消毒剤はやはりアルコールでしょう。いわゆるお酒に使われるエタノールや、イソプロパノール(こちらは飲めません!)、どちらも濃度が濃ければ良いというわけではなく、70%前後のものがより高い殺菌効果を示します。街のいたるところで見かける消毒用アルコールはこの濃度に薄められていますので、前述の通り水で濡れた手に塗布しては効果激減です。アルコール過敏の場合は逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)などを主成分としたものを選ばれると良いでしょう。ただし、アルコール類は汎用性が高いものの、口蹄疫ウイルスやノロウイルスなどには効きませんので過信は禁物です。

より強い消毒剤として、次亜塩素酸ナトリウム(プールや台所の漂白剤に使われ、ツンとした臭いがします)やヨード剤(うがい薬などに使われている茶色い液体です)が挙げられます。ほとんどの病原微生物に高い殺滅効果を示しますが、その分高濃度で使用すると動物の皮膚が荒れたり、金属を腐食させますので適正濃度を守りましょう。さらに、「熱湯消毒を兼ねて…」と考えてお湯に滴下している場面を見かけますが、高温条件では失活してしまいますので、これはおすすめできません。

環境への散布に使われる消石灰を踏み込み消毒槽に使うと口蹄疫ウイルスを含む様々な病原体に効果的です。ただし、槽内がすぐに結晶化してしまったり、コンクリート床が目詰まりして水はけが悪くなったりといった短所もありますので、地域での感染症流行状況に合わせて、他の消毒剤と使い分けると良いでしょう。

この機会に、日頃使っている消毒剤に何が含まれているのか、ぜひラベルを見てみましょう。