質問コーナー

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Q&A

ヨーグルトメーカーで作ったヨーグルトの成分は、元のヨーグルトと同じですか?

掲載日:2019.02.28

Q

最近ヨーグルトメーカーを購入したのですが、完成したヨーグルトが元のヨーグルトと成分が同じなのか気になります。
また、完成したヨーグルトを元として次のヨーグルトを作る場合、成分はどの程度変化するのでしょうか。
味付きヨーグルトをもとにしたヨーグルトは何味になるのでしょうか。
教えていただけると幸いです。

A

ヨーグルトメーカーは、市販の牛乳の中にヨーグルトを入れ、温度とタイマーを設定するとヨーグルトが自宅でもできると、昔からありますが、最近は特に健康ブームもあって評判ですね。

さて、出来上がったヨーグルトがもとのヨーグルトと同じ成分なのかということについてですが、出来上がったヨーグルトの成分はほとんどが、原料の牛乳が発酵したものです。
もとのヨーグルトを作ったときの原料と同じもので作ったのであれば、ほぼ同じになります。
ただし、もとのヨーグルトの中の菌(乳酸菌やビフィズス菌)は、ヨーグルトメーカーの調理条件(温度、時間)では増殖できないものもあるので、完全に再現できない場合もあります。

もとのヨーグルトに入っている菌のうち、ブルガリカス菌やサーモフィルス菌という菌は、ヨーグルトメーカーの初期設定温度にもなっている事が多い40~42℃付近で増殖が良好です。
一方、下ろしたての"ながいも”のような独特な粘性をもつ発酵乳の菌では、その多くが増殖良好な温度を30℃以下にもつようです(このような発酵乳は仮に40℃付近で培養するとねばねばが極端に少なくなります)。
また、市販ヨーグルトに入っている事が多いビフィズス菌とよばれる菌は、酸素を極端に嫌います。
特殊な培養装置で作ることが求められるので、おそらく一般家庭のヨーグルトメーカーではビフィズス菌の培養は困難です(我々のお腹の中は、この特殊な培養装置と同じように酸素が入らない環境ですので、ビフィズス菌が増殖可能です)。
 
また、完成したヨーグルトをもととして、新たにヨーグルトを作ったときの成分の変化についてですが、簡単に言えば、材料、作り方が同じであれば、同じものができます。
 
また、味についてのご質問ですが、例えば、甘さがあるヨーグルト(砂糖が入っているヨーグルト)を、市販の牛乳に入れてヨーグルトを作ったとしても、市販の牛乳には砂糖が無いので甘くはならないのはご理解いただけるかと思いますが、もしかすると、酸味(酸っぱさ)が違うと感じられるのではないでしょうか?
酸味は乳酸菌やビフィズス菌が出す乳酸の味ですが、ビフィズス菌はそれに加えて酢酸(お酢の酸)も出します。
市販のヨーグルトに含まれる乳酸や酢酸は、食べる我々消費者が良好な風味に感じるよう適当な量に調整されています。
ヨーグルトメーカーでは、これら酸の量を測定しながら培養しているわけではないので、時に酸っぱさが強く感じたり、または酸っぱさが抜けたような風味になるかもしれません。
従って、酸味についていえば培養する時間によって変化します。
何度か製造をトライして頂き、お好みの時間を導き出して、タイマーなどで培養時間を設定すると、いつもおいしいヨーグルトができるでしょう。

ただし、ヨーグルトメーカーを使う上での注意点があります。
自家製のヨーグルトは菌が増殖するのに良好な環境にして製造しますが、ヨーグルトの菌以外の、雑菌も混入する可能性もあり、また、その雑菌が増殖される場合が無いとも限りません。
そのことでの食中毒事故も懸念されるところです。
ヨーグルトメーカーの取扱説明書を良く読んで、原料に雑菌の混入が起きないよう、十分に注意してください。
また、出来上がったヨーグルトを暖かいところにそのままおいておくと、酸っぱさが増してきます。
出来上がったら冷蔵庫に入れ温度を下げるなど、取り扱いに留意してください。

自宅で作るヨーグルトで健康維持、大変素晴らしいですね。

【回答者】
酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類
講師 栃原 孝志